次の旅は、カメラを持っていきませんか。
カメラを手に歩き、その土地で出会う人それぞれが持つ想いに共鳴し寄り添ってみてください。
そこでしか出会えない、あなたにしか見つけられないものを撮影することができるかもしれません。
倉敷川沿いの柳並木と白壁の美観地区は、この土地で生まれ育ったわたしの自慢の風景です。そこにあるのが当たり前だった町並みの中に、それぞれに想いを持って働く人たちがいて、この町に魅力を与え続けていることに気づいたのは、カメラを持って歩いてからのこと。
前回は倉敷の全体像をご紹介しましたが、今回は倉敷をつくる働き「手」にクローズアップして、わたしが見つけた新しい倉敷の魅力を紹介していきます。
◆おちゃめな船頭さん
白壁と柳並木に囲まれた倉敷川の風物詩と言えば川舟流しです。
「くらしき」を背負ったはっぴ姿で、倉敷の歴史を話す船頭さんの穏やかな声が聞こえてきました。菅笠から覗く目はきりっとしてカッコイイ。長い棹を持つ手は、舟をゆったりと流していきます。
船着場に戻ってきた所に撮影を依頼すると、棹を持ち上げたり、流し目をしたり、ポーズをとってはキメ顔を披露。
舟を操る手は繊細で一流、その反面、サービス精神旺盛なおちゃめな船頭さんのギャップに魅了されました。
◆ちょっぴり強面のやさしい手
美観地区を象徴する「中橋」、その脇の柳に、静かに人力車が佇んでいました。黒と赤が、白壁に良く似合います。
ひとっぱしりした後に休んでいる、人力車の俥夫さんを撮影していると、
「…いい写真、撮れた?」
少し強面のこの俥夫さん。意外にも気さくに声をかけてくださいました。恐る恐る様子を伺いながら話すうちに、この方のやさしいお人柄が見えてきました。しまいには、居眠りをしている写真を撮らせてほしい、というわたしの不躾な注文に、少し照れながらも快く演技まで。その時の写真がこちらです。
倉敷を知り尽くし、町の魅力を最大限に伝えるのも一つですが、またこの人にあいにきたい、と思わせるのも人力車に乗る魅力なのでは、と思いました。
◆あいつむぐひと
ゆったりとした趣きが感じられる本町通りを進むと、わたしの身長より大きな、藍色のタペストリーが見えてきました。こちらは、独特の染色や洗い加工を施した繊維製品を販売しているお店のようです。
お客さんとおしゃべりしながら休みなく手を動かしている店員さん。ベルトを固定する細いジーンズ紐に針金を通し、メガネや自転車を次々に作り出しています。履いているサロペットにもポップなパッチワークでオリジナルな加工が。インディゴブルーにドットのTシャツがよく似合うその人に、どうしても目が吸い寄せられます。
「これも自分で作ったんです、可愛いでしょ。」と、すごく嬉しそう。
ものづくりが大好きで、何より自分が作り出したものたちを愛しているんだ、というのがひしひしと伝わってきて、温かい気持ちになります。この人が愛するものが無性にほしくなって迷わず購入。わたしのジーンズ棒もすぐにお花に生まれ変わりました。
「やりたいと思ったらすぐ動くんです。そうするようになって、うまくいくようになりました。」
そう語る優しさあふれる笑顔。なんだか泣きそうになったのは、ものづくりへの純粋な愛情に触れて、わたしもその愛情の「お裾分け」をもらったからかもしれません。
◆さいごに
今回出会った働き手の方々から、じんわり温かい感動をもらい、わたしは倉敷がより一層大切な町になりました。そしてこの町にもまだまだ、気づいていない魅力が隠れていると確信しています。みなさんも、カメラを持って、倉敷をつくる手にあいにきてください。
たなべ ひろこ
倉敷まちや倶楽部 女子カメラ部 広報
愛機:CANON EOSKissF
写真磨きは自分磨き。みる人が心和む写真を撮りたい。
倉敷まちや倶楽部女子カメラ部Facebook:
www.facebook.com/machiyacamera
20代~40代のカメラ女子サークル。
メンバーのスキルアップと交流を活動の中心とし、地元の良さを写真でPRする活動を展開中。”これから女子”へのワークショップ「はじめてふぉと」も開始。