夏が終わり、風も涼しく秋の匂いを感じるようになってきた。
日本では、古くから五穀の収穫を祝う風習があった。”新嘗祭“と呼ばれるいわゆる収穫祭である。
時代の流れとともに廃れつつある風習だが、塩竈
では今もまだその行事を大切に受け継いでいる。
大きな台車にその年に取れた米や魚、野菜などを乗せ、町の中を練り歩く。
今年の豊作に、自然に感謝するとても大切な行事だ。
東北の冬は長く、厳しい。
短い夏が終わると駆け足で秋が通り過ぎ、あっという間に冬がやってくる。
この長い冬がやってくるからこそ、東北の人々は秋の実りに感謝することを忘れない。
吐く息が真っ白になると、自分の体の発している温かさを深く実感する。
肺の中に入ってくる冷たい空気と、冬の匂いはまるで片想いをしている時の切なさに似ている。
フォトグラファー:大江 玲司(Reiji Ohe)
Website : http://www.reijiohe.com/