17.04.2014

記憶と記録

17.04.2014

記憶と記録

つくるときに忘れたくないあれこれのために。

写真の三つの要素、記録、伝達、表現。
今日は私にとっての「記録」としての写真について書いてみようと思います。

記録する写真、というものは、はるか昔の写真術が発明された当時に、大衆が写真に求めた最も大きな機能だったのではないかと思います。自分自身の目に映るものがそのままに別の物質のなかに記録される、この視覚体験は人々に大きな影響を与えたことでしょう。

1839年に発表された最初の実用的な写真術、ダゲレオタイプを利用した当時の写真には、数多くの肖像写真が残されています。
例えば、人が「記録し残したい」と強く感じる対象が、大切に思う相手や慕った相手、そんな人たちであったのなら…
他に様々な理由もあったのかもしれないですが、それはとても素敵なことです。

一方、写真の誕生以降、長い時間をかけて現代のデジタルイメージングの技術に至るまで、記録としての写真は裾野を広げて様々な性格を持つようになりました。
それは、私的写真と呼ばれるようなものからジャーナリズムに基づき残されたものまで、非常に広義の意味を持っており、多面/多様的に広がったといえるでしょう。

そんなバックグラウンドを思うと、写真という形で、私が記録したいと思うものはなんだろう…と思索させられるのです。
私の写真のコンタクトシートを見返してみました。慕う相手や家族、思い出のあの時…。それらに混じって、とても目を惹いたものは、写真をつくるために行った場所や見たものの記録たち。
作品制作のためのインスピレーションの源とも言える記録は、それと出会ったときの記憶から色褪せずに姿を留め、そこにありました。今回は、そういった作品制作のための構想を練っていたときに「残したい」と感じた記憶のかけらたちを掲載させていただきます。作品について書かせていただいた
第1回第2回の記事と併せてご覧いただけると、嬉しいです。

悲しいことは、思い出せないこと。
ずうっと残して覚えていたいことを、大事にできるように、私は記録を残すのです。

桑田 恵里(ERI KUWATA)
1990年、東京都生まれ。東京都在住。
2013年に日本大学芸術学部写真学科を卒業し、日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻写真分野 前期課程に在籍。
2013 日本大学 芸術学部長賞

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