広い空間に出る。
前回の記事では、私が写真を始めた理由、写真を撮るうえで大切にしていることを書かせて頂きました。
第二回目となる今回は、“自分の写真が出来るまで”をテーマにお話ししたいと思います。
第一回目に掲載した、卒業制作作品でもある「うみのそばで」は、いきなり生まれたわけではありません。過去の作品から視野を広げることで完成させたものです。そのきっかけとなったのが、大学3年生のときに撮った「砂の国」という作品です。
当時、大学3年生になった私は、自分の写真の特徴もこれといってなく、かなり悩んでいました。そうするうちに夏休みを迎え、特に何か考えがあったわけではないのですが、日本三大砂丘でもある「鳥取砂丘」が見たくなり、鳥取へと足を運びました。
風に舞う砂、小さく見える人々、霞む水平線…初めて見た、美しく雄大な景色に心を奪われ、夜中までシャッターを切りました。
そして、これを作品として仕上げていく過程で、私が写していたものは砂丘ではなく、雄大でとてつもなく広い空間だったのだと気づいたのです。
それからというもの、広い空間を求め、海を撮り始めました。そして、第一回で紹介した「うみのそばで」という作品に帰結しました。
広い空間を撮るうえで、とても大事だったのが構図です。
人のいる位置、空間の気持ち良さ。
その空間にいる人でしか感じることのできない、言葉では表現できない気持ち良さを感じた瞬間にシャッターを切ります。
広い空間に出る。- これが、私が写真を撮る第一歩を踏み出すきっかけとなり、今の自分の作品につながる大切なテーマになりました。
魵澤和之(KAZUYUKI EBISAWA)
1991年、福島県生まれ。東京都在住。
2014年日本大学芸術学部写真学科を卒業し、現在は都内スタジオで勤務中。
2011 グループ展35,654,400sec Gallery LE DECOにて
2012 第一回日中大学生写真交流展 出展
行幸地下ギャラリーにて
2013 日本大学写真学科「出て来い新人2」出展 新宿Nikonサロンbisにて