19.01.2015

ジャケット写真は広告媒体 2 〜光を味方につける

19.01.2015

ジャケット写真は広告媒体 2 〜光を味方につける

前回はジャケット写真を頼まれて撮るための準備編のようなものをお届けした。今回は、実際に撮影する時に注意しておけばプロっぽいジャケットに仕上がるポイント等を、自宅撮影についてお届けしようと思う。

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光の向きに気を配る

とにかく予算が取れないインディーズなのでジャケット撮影のためだけに高価な機材を揃えるには無理があると思うし、揃えると言ってもどれから手をつけたら…と、それなりにカメラ機材に興味があったとしてもなかなか手が出ないのではないだろうか。じゃぁ出来ることやりましょうということで、まずは光の向きに注意しよう。

昔からの写真そのもののセオリーとして、光源を背負うというのがある。つまり、撮り手の背中に光源を持ってきて、被写体を自分より前に置くというヤツ。よっぽど狙った写真でない限りはこの方法で問題無い。これはつまり、ベランダ等の大きく開いている方角を背中側に持ってきて日中に撮ればよい、ということになる。
しかしながら、光→撮り手→被写体が一直線に並ぶと、撮り手の影が被写体と重なるケースが生じてしまうという欠点がある。
そこで別のセオリーを持ち出してこれを回避してやると良い。

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45度もしくは30度の法則(勝手に命名)

要するに、自分の影で被写体を遮らなければよいので、光源→被写体の線から自分が逸れてやれば良い。が、闇雲に逸れるのではなく、30度から45度の角度内で移動する。被写体にはまっすぐ光源に向かい合ってもらい、自分が若干左右どちらかに移動する。真正面から光が入っている状態なので、基本影は被写体の後ろにしかない状態になるはずなので、撮り手が多少移動しても被写体上に影は出来にくいという理屈だ。この現場写真では、被写体から見て右に45度程度移動した位置から撮ることになっている。この手の撮り方をする場合は、こっちかな?と思った方で撮るのは当たり前だが、反対側も押さえておくと後悔が減るということも覚えておいて欲しい。例え自分があまり気に入った写真でなくても、依頼主等がこっちと言うことがあるからだ。

もうひとつ付け加えておくと、この45度の法則は別の場所でも使える。例えば被写体から見て左上にストロボ等を置きたい時も、正面から左(または右)に45度、上に45度が基本となる。ストロボはクリップオンタイプをひとつしか持ってないのが普通だから、カメラの上に取り付けて…となりがちだが、この真正面から強い光っていうのが厄介で、マニュアル読みながらあれこれストロボの設定をやってもどうもピンと来ないという経験をお持ちの方も多いんじゃないかな、と思う。
クリップオンでも45度の角度に置きたい!それも安く!というのであれば、カメラ本体のホットシューにつける「シンクロアダプタ」とか「ホットシューアダプタ」という1,500円前後で買える四角いハコと、シンクロケーブル(2,000円程度?)というものを使えばよい。

※カメラ本体からストロボを分離して設置するには「ナノポールKIT スナップティルトヘッド・バッグ付」が便利。クリップオンストロボをそのまま付けられるアダプタとバッグがセットになっているので、買ってすぐに使うことが出来る。また、ポール部分を分離させることが出来るので手持ちも可能なのと、レベルアップしてアンブレラを使いたい人のために固定穴とネジが付いているところも見逃せない。

本来ならストロボは多灯使って表現するのだけれど、まぁそこは低予算。とりあえずストロボはひとつあるという前提で話を進めると、シンクロアダプタとシンクロケーブルぐらいなら懐もそう痛くないのでなんとかなるだろう(あると後ですごく便利なので調達してカメラバッグに放り込んでおくといい)。

でも反対側に盛大に影が出来る。
で、レフ板を反対側に置いてストロボの光を戻してやる。一度拡散した光を戻す訳だから、ここはちょっと大きめのレフがあるとベスト。どうしてもそこまでは予算が…というのであれば、模造紙でもいい。戻った光が首回りの影をそこそこ薄くしてくれる…というのがベストポジション。

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目の中に入れるもの

意外と気にする人が少ないのだが、ポートレイト、特に女性を撮る場合には、目の中に入れるものも大事な要素だ。専門用語を持ち出すとアイキャッチ、要するに目の中に入れるハイライトのこと。点なのか、線なのか、面なのかで目そのものの印象が変わる。さらに「入れない」というオプションも存在する。
一時期リングライトを入れるというのが流行ったことがあるので、撮っている人なら聞いたことがあるんじゃないかなと思う。
実際の入れ方は様々で、基本は常時点灯する光か、胸のところに置いたレフ板等で映り込みとして入れてやる(そうなると更に機材費がかさむことを覚悟しなければならない訳で、裏技として先の45度の法則を無視して真正面からクリップオンストロボを焚いた絵をひとつ撮っておく – 当然、目の中にストロボ光が点として存在するので、これを元にして、画像編集ソフトで本番の写真に貼り付けてやる)。
人手不足とかで、どうしてもレフを持ってくれる人が足りないのであれば、バストアップに限定されてしまうが、被写体にレフ板を持ってもらう…というのも手。
いずれにせよ、デジタル時代な訳なので、ある程度のレタッチは避けて通れない。逆にそうだとしても、写り込ませたくないものは極力入れないに越したことはない、というのも覚えておくとよいだろう。
例えば膝の上に置いてある黒い布は、保温効果もあるのだが、足元の服の色が入らないようにするという意味も含んでいたりする。

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いろいろな角度とカメラで撮っておく

これと決めた構図でも撮ってみたけれども、なんか違うかも…という発見があるのが常。なので、気に入る、気に入らないは別として、左右上下で数カット分余計に予備として撮っておく。また、スマホを含めて別のカメラ等でも撮っておくといい。
前回も書いたが失敗は起きるので、失敗を失敗とさせない工夫や、その写真を使う人の心変わり等を考慮して先回りしておく。そしてポイントさえおさえておけば、一定以上のクオリティを持った写真が撮れるので、結果的に一定以上のクオリティを持ったジャケットが作れる…ということになる。そのための予備であり、使わなかったらSNSに投げてもいいし
…くらいの気持ちの余裕が必要だと思う。

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上載の最後の1枚は、比較のために以前スタジオで撮ったものを持ち出してみた。スタジオだと回り込む光が使えるということも含めて、ちゃんとした調光が出来るという利点があるのだが、実際にジャケットのサイズに落とした時にどれだけ違うかというところだけみればそう違いがあるものではない。もちろん、自宅で撮るよりも自由度が格段に高いというのは言うまでもない。スタジオでちゃんと予算をかけて作る…というのを目標にするのも良いかも知れない。

さて、次回は屋外ロケでの写真を中心に、外でジャケット写真を撮る時のポイントをお伝えしようと思う。

蒼井 螢(アオイ ケイ)

グラフィックデザイナー→ソフトウェアエンジニア→カメラマンという変わった経歴を持つ。レタッチャーとしての実績も長く、インディーズから著名アーティストまでジャケット制作多数。「通り過ぎる写真」「カメラマンと写真家は違う職業」というのが持論。
写真は猫と女しか撮らないらしい(例外があるらしい)。

http://www.vjcatkick.com/

この記事を書くのに当たって手伝ってくれたメイクさんは、あちこちで活躍中の Risa Chino氏(赤い帽子の女性)。ご自身も撮る人なので、意思の疎通が早く仕事が早い。
そしてモデルは前回同様、今回も「友莉夏」(Yurika)。デビュー曲「Heartbeat feat.友莉夏」がiTunes等で絶賛配信中。

http://rypp.studiow4m.com/?p=517

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